スポーツジムなどで筋力トレーニングに励む人たちをみていると
「できるだけ重い重量を・・・」という思いから、
高重量のバーベルを担いでスクワットにチャレンジしたり、
ベンチプレスで必死に高重量のバーベルを持ち上げようとする人の姿をよく見かけます。
おそらく筋力トレーニングに励んでいる人の中で、
少しでも重いバーベルやダンベルを使った高強度トレーニングだけが、
最も筋力トレーニングの効果を引き出す方法だと
思い込んでいる人は多いのではないでしょうか。
確かに、できるだけ重い重量を使った高強度トレーニングは、
それなりの高い効果が期待できますが、
筋力トレーニングの動作フォームが崩れやすくなります。
筋力トレーニングの基本は、正しい動作フォームで行い、
狙った筋肉にしっかり負荷をかけることです。
しかし、重い重量のバーベルやダンベルを使う場合、勢いにまかせて振り上げたり、
力を抜いて下ろすような動作では、筋肉を十分に刺激することはできず、
重い重量を使う意味がなくなります。
また、初心者や重い負荷に慣れていない人は怪我のリスクも高まります。
現代のスポーツ科学では、軽い重量でも回数とセット数を高めれば、
重い重量を使った高強度トレーニングと同等の筋肥大の効果が期待できるとしています。
ようするに、筋力トレーニングの効果は、
重量×回数×セット数=総負荷量で決まるというわけで、
軽い重量のバーベルやダンベルでも、回数とセット数を増やして総負荷量を高めれば、
重い重量での筋肥大と同等の効果が得られるということです。

どれだけ重い重量を持ち上げられるかという強度をあらわす単位に「RM」があります。
「RM」とは、Repetition Maximum(最大反復回数)の略で、
1RMは、全力で1回しか持ち上げられない重量で、
2RMは2回、3RMは3回ということになり、
回数が増えていくほど、重量が軽くなります。
例えば、ベンチプレスで全力で1回しか上げられない重量を1RMとし、
全力で10回まで反復できる重量を10RMとしてあらわします。
重い重量を使った高強度トレーニングといわれるのは、
だいたい1~6RMくらいの重量です。
この重量で行った場合より、10~16RMくらいできる重量で行った場合のほうが、
一般的に回数とセット数も増えて、結果的に総負荷量もあがりやすくなります。
さらに、動作フォームも崩れにくく、怪我のリスクも少なくなります。
スポーツジムなどで筋力トレーニングしていると、
どうしてもまわりの人の重量が気になり、つい無理して重い重量を使いたくなりますが、
まずは、正しい動作フォームでできることを考え、
無理なく総負荷量を高められる方法を選んで行いましょう。